耳鳴りメカニズム

 

耳鳴りというのは、症状の程度の差こそあれ、生活の質に大きく影響してしまう症状でもありますよね。常に「キーン」とか「ピー」と原因不明の音が鳴り響き続けている世界なんて、ストレスの原因でしかありません。当然、普通の音を聞く力にも悪影響を及ぼします。

 

そして何より、耳鳴りが特に辛い症状である理由として「人に上手く伝えられない」ということがあります。目に見える症状ではないので、家族からも理解が得られにくいですし、親身になって心配してもらえることも少なくなりますよね。

 

実際に耳鳴りに悩まされて私の治療院に来院される方のほとんどがそうですが、レントゲンやMRIなどで精査をしても、特に異常があるわけではありません。何か病気であればそれを治療することで耳鳴りも治まりそうなものですが、多くの耳鳴りはいわゆる「原因不明」なのです。

 

しかし、耳鳴りの症状があるのは事実ですし、実際に原因はあります。私の治療院ではそんな耳鳴りの根本的な原因に着目し、病院では施されてこなかった角度から治療を行っています。その結果、何十年も耳鳴りに悩まされてきた方が、驚くほどの改善を見せるのです。

 

この本では、そんな治療院での実績を自慢したいのではありません。本当に耳鳴りを治したい方に向けて、実際に効果があったセルフケア方法やエクササイズ方法をお伝えし、長いトンネルから抜け出すための方法を届けたいのです。

 

何よりの強みは、机上の空論ではなく実際に耳鳴りの患者様に効果があったという信ぴょう性の高さであります。もう効果が出なかった薬の服用や検査漬けの生活を止めて、耳鳴りの無い当たり前の生活を一緒に取り戻していきましょう!

 

耳鳴りは大きくわけて二つに分類することができます。一つは脳を始め何か病気があり、その症状の一つとして耳鳴りが起きているケースです。これはレントゲンやMRIなどの画像診断で明らかな病気が確認できていて、それが耳鳴りを引き起こす病気であるとハッキリしているものだと考えてください。このケースの耳鳴りは、まず原因となっている病気の治療が必要です。

 

そしてもう一つが、何か病気があるわけではなく、打撲などの外傷を含めた明確なきっかけが無いのに発生している耳鳴りです。「一次性耳鳴り」と表現することもでき、いわゆる「原因不明」の耳鳴りと考えてください。脳神経外科や耳鼻科で検査しても耳鳴りの明確な原因がわかるわけではなく、「加齢による仕方のない症状」とか「とりあえず服薬で様子見」といったような処置がなされることが多い耳鳴りです。この本で対象としているのはそんな原因不明の耳鳴りで、多くの方が困っている症状でもあります。

 

しかし、画像診断やその他の精査などで異常がなかったとしても、実際に耳鳴りが起きていることには間違いありませんよね。まだまだ深い部分では原因が解明されていない耳鳴りですが、ある程度の共通するメカニズムが存在しています。この耳鳴りのメカニズムをご自身で把握しているだけでも、今後のケアに大きく活かせるはずです。

 

耳鳴りは伝音機能の異常

 

耳鳴りに関していえることは、脳に音を伝える機能の異常であるということです。音を伝える器官といえば当然「耳」ですよね。そんな耳は大きく三つの部位に分かれていて、耳の外側から「外耳・中耳・内耳」と耳の穴の中に向かっていくにしたがって呼び名がついています。外耳は外から見える耳の部分であり、耳鳴りに関していえばここが問題になっていることはほとんどありません。中耳は音を振動として伝える部分で、鼓膜が位置している部分でもあります。そして内耳は振動として伝わってきた音を「電気信号」に変換して脳へと伝えていく部分です。三半規管と呼ばれる部分が存在しているのも内耳になります。

 

耳鳴りが外耳の問題が原因で起こっているわけではないとすると、残るは中耳か内耳です。耳鳴りのメカニズムを考えるうえで一つポイントになるのが「検査で異常がわからない(わかりにくい)」という点でしょう。これを踏まえると、中耳で何か問題が起こっていれば検査ですぐにわかります。鼓膜が破れているなど、わかりやすい画像所見が確認できるはずだからです。となると、原因不明の耳鳴りが起きている際に異常が起こっているのは「内耳」となります。

 

内耳の異常で音の信号が脳に上手く伝わらない

 

外耳や中耳から振動として伝わってきた音を、内耳で電気信号に変換して脳へと伝えています。耳鳴りが起こるのは、振動が上手く伝えられていないというよりも、伝わってきた振動を電気信号に変換する機能が上手くいっていないということです。耳鳴りとして患者様本人に聞こえている「キーン」とか「ピー」という音は、周りの人には聞こえていません。これがもし実際に空気を震わせて振動として伝わってきている音であれば、周りの人にも聞こえているはずなのです。しかし、実際には本人にしか耳鳴りの音は聞こえていませんよね。やはり、万人に共通するはずの音の振動としての伝わり方よりも、本人にしかわからない電気信号への変換の部分で異常があると考えられるのです。